企業の生産性を高めるうえで、社内コミュニケーションの活性化は重要です。しかし、企業のコミュニケーションはさまざまな立場の人が複雑に絡み合っておこなわれるため、多くの企業が課題を感じています。ここでは、昨今の社内コミュニケーションが抱える課題の全体像と、その改善のヒントについて解説します。

テレワークの拡大で、社内コミュニケーションの前提が変わった

新型コロナウイルスの流行に伴い、テレワークの導入が広がっています。2020年4月にドリーム・アーツが実施した調査では、従業員数1,000人以上の大企業において、84%がテレワークを導入したという結果が得られました。

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こうしたテレワーク拡大に伴い、社内コミュニケーションにおける“前提”が変化しています

そもそも、コロナ禍以前は従業員同士が会社に集まって仕事をする“オフィス勤務”が当たり前でした。そこではお互いが同じ空間に存在するため、相手の表情やジェスチャーを交えた相互理解が成立していたのです。いわゆる「空気を読む」といった言葉に表現されるような、多くを語らずともやりとりが成立する「察し合う文化」が存在していました。

しかし、テレワーク下においては社員が同じ空間を共有せず、それぞれの場所で仕事をします。これにより相手の表情や会話の文脈などの情報が削られ、コミュニケーションの手がかりが少なくなりました。以前のような「察し合う文化」によるコミュニケーションでは、十分な意思疎通がとれません。
社員がそれぞれの場所から仕事をしつつ、コミュニケーションの質を維持するためには、情報をきちんと言語化して伝える「語り合う文化」へのシフトが重要なのです

察しあう文化から語り合う文化へ

7割の社員が社内コミュニケーションに課題を感じている

社内コミュニケーションが抱える課題の現状を、もう少し深掘りしていきましょう。
2021年1月にHR総研が実施した調査では、7割の企業が「自社の社内コミュニケーションに課題がある」と回答しています。同調査では、特にコミュニケーションに課題を感じる関係性についても聞かれており、「部門間」「部署内」「経営層と社員」といったものが挙げられていました。

回答のフリーコメントで寄せられた声

  • 経営層の掲げる本質的なメッセージがメンバーまで届かず、「意図」が抜けた「指示」だけが伝わってしまう
  • 部門を越えたコミュニケーションは必要最低限になり、発想やアイデアを生みだすコミュニケーションが足りていない
  • ほかの部門がなんの仕事をしているのかまったく分からない
  • 情報共有に留まり、連携・協業にまで発展しない
  • 自らの担当業務をこなすのに精一杯で、連携が取れていない

以上のコメントから、ひとくちに“社内コミュニケーション”といっても、その課題はさまざまであることが伺えます。

出典: 「社内コミュニケーションに関するアンケート2021 結果報告」| HR総研

社内コミュニケーションの改善で意識すべき“3つの階層”

調査からも示されるように、社内コミュニケーションの課題は複雑かつ多様です。その改善に取り組むには、次の3つの階層を意識することが大切です。

  1. 縦のコミュニケーション
  2. 横のコミュニケーション
  3. 個人と個人のコミュニケーション

縦のコミュニケーションとは、経営層やマネージャーから発信される、社員全般への情報発信を意味します。経営層からの情報が上手く伝わらないと、社員一人ひとりが全社の戦略や目標を意識できず、組織としての一体感が薄れ、現場の感覚や情報を経営に活かしにくくなります。

横のコミュニケーションは、異なる部門同士がおこなうコミュニケーションを意味します。部門同士が連携し、価値を創出できるかは、この「横のコミュニケーション」が上手く機能しているかに左右されます。

個人と個人のコミュニケーションは、社員一人ひとりに対する情報共有や、社員同士のコミュニケーションのことです。ここが整備されていないと、社員は必要な情報の取得や社内調整に時間を取られ、より重要な仕事に集中できないという事態に陥ります。

企業のコミュニケーションは、このような3つの階層が複雑に絡み合って成立しています。社内コミュニケーションを改善していくには、コミュニケーションの構造を理解したうえで、各階層における情報共有や伝達の仕方を設計していくことが重要です

Microsoft 365やGoogle Workspaceを導入すれば大丈夫?

では、そうした社内コミュニケーションの課題を、どう解決していけばよいのでしょう。
社内コミュニケーションを活性化させるために、「Microsoft 365」や「Google Workspace」などのツールを導入している企業は多く見受けられます。しかし、ツールを導入するだけで課題は解決されるのでしょうか?

先述したとおり、社内コミュニケーションの課題は複雑かつ多様です。せっかくツールを導入しても、「ツールのできること」と「自社の課題」が一致していなければ、コミュニケーションは活性化しません。
たとえば、ツールには「フロー系」と呼ばれるものと「ストック系」と呼ばれるものがあります。「フロー系」のツールは、メールやチャットのように情報が絶えず流れ込んでくるものを指します。一方の「ストック系」は、掲示板やポータルのように情報を貯める場所を指します。

「フロー系」のツールは個人間のやりとりに適しており、「ストック系」のツールは組織から社員個々人に対しての情報発信に向いています。それぞれ得意不得意があり、ひとつのツールでコミュニケーションの課題全般をカバーすることはできません。
また、目的に合ったツールが導入されても、導入後の運用ポリシーがきちんと整備されていなければ、情報の氾濫やツールが活用されないといったリスクが生じます。たとえば「ストック系」のツールでは、個々人に運用を任せるとすぐに情報が溢れかえってしまうため、ある程度の運用規定などが必要でしょう。
ツールを使って社内コミュニケーションを活性化させるには、自社に合ったツール選定と運用方法の設計が重要なのです

課題と手段がミスマッチ

「やるべきこと」がわかっても、実行するのは難しい

前項で、社内コミュニケーションの改善には、自社に合ったツールの選定と運用方法の設計が重要だとお伝えしてきました。このほかにも、社内コミュニケーションの改善には、いくつかの考慮すべきポイントや、実行すべきステップがあります。社内コミュニケーションの課題は複雑で、一面的に捉えきれるものではありません。
また、やるべきことが明確になっても、コミュニケーションを改善するのは一苦労です。特に、組織規模が大きくなればなるほど、課題は増えていきます。たとえば、全社横断の情報整備を取り仕切る人が社内にいなかったり、そもそも話の規模が大きすぎて状況を俯瞰できなかったり…。

もし上記のような課題をお持ちの場合は、ぜひ私たちにご相談ください。
長年にわたり、大企業のコミュニケーション改革をソリューションとプロジェクトの両面から支援してきたドリーム・アーツがお役立ちします。
まずはコミュニケーション改革に成功した企業の事例を参考にしてはいかがでしょうか?

大企業の社内ポータル成功事例集

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執筆者
鈴木(すずき)
株式会社ドリーム・アーツ 協創パートナー推進本部 EL2グループ

ドリーム・アーツ入社後、SmartDBのカスタマーサクセスを担当。プロジェクト型のサービス導入支援に従事し、大企業の業務DXに伴走。2021年より、InsuiteXの販売・導入支援も担当。